――そんな小さな疑問が胸に芽生えたのは、塾の保護者説明会でした。
「覚悟してください。毎日5時間は机に向かいます」
講師の言葉は真剣そのもの。けれど私の頭の片隅には、ずっと消えない違和感が残りました。
この6年間、わが子にとって本当に大事なのは“点数”だけ?
数字だけでは測り切れない成長がきっとある。そう信じて、私は“伸びしろ”を探す旅に出たのです。
目次
1|数字は“入口”にすぎない
京都で開かれた教育フォーラムで、ヘックマン博士のこんなグラフに出会いました。
粘り強さや協調性が高い子ほど、30代の所得と幸福度が高い――。
いわゆる“非認知能力”こそが、人生を左右するという研究結果。
偏差値はもちろん便利な指標です。でも、それはあくまで“入口”に過ぎない。どんな力を伸ばせる6年間を選ぶのか――そこが本質ではないでしょうか。
2|“非認知能力”が未来を拓く
粘り強さ、自己管理、他者と協働する力。
これらはテストの点数としては現れません。でも社会に出てから大きな“差”になる、と何度も聞きました。
私自身、仕事で人材の評価に関わるたび、数字では測れない部分が決定打になる場面を目の当たりにしています。
3|探究型学習が生む化学反応
ある国際バカロレア校(IB)で、1年生が「街の空き家をどう再活用するか」をテーマに調査していました。
机上の学習ではなく、実際に街を歩き、取材し、発表する――。最初はおずおずと話していた子どもたちが、年度末には堂々とマイクを握る姿に変わっていたのです。
「失敗しても大丈夫」と感じられる環境は、子どもの挑戦心を一気に加速させる。
そんな化学反応を目の当たりにして、「これこそ6年間で育てたい力だ」と強く感じました。
4|学校説明会で感じた3つのこと
観察ポイント | 注目すべき理由 |
---|---|
生徒の目がキラッと光る瞬間 | 質問が飛んだ瞬間の反応速度・熱量をチェック |
先生の関わり方 | “答え”を示すか、“ヒント”を渡すかで学びの深さが変わる |
卒業後の進路の多様性 | 進路が放射状に広がる学校は、個性を伸ばした証拠 |
偏差値表や合格実績だけでは掴めない“空気”が、意外と決め手になるものです。
5|「バリューアッド」という別のものさし
入学時偏差値50台の共学校が、卒業時に6割もの生徒を国公立・難関私大へ送り出す――そんな事例があります。
ポイントは「どれだけ伸ばせたか」を可視化する仕組み。ICTで学習ログを取り、週1回の面談で目標を更新することで、子ども自身がセルフコーチになるのです。
高い偏差値で“入る”より、大きく伸びて“出る”――。
それを測るのが「バリューアッド」という考え方でした。
6|旅のはじまりに立つあなたへ
- 非認知能力は、数字以上に将来を左右する。
- 探究型学習は、その力を育むゆりかごになる。
- 学校の空気感を五感で確かめることを忘れない。
この3つを手がかりに、偏差値競争から一歩離れて、「わが子が6年間でどう成長するか」を想像する旅を始めてみませんか?
次回予告
- 非認知能力が伸びやすい学校の共通点
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
ご感想やご質問は、ぜひコメント欄でお寄せください。
コメント